デンタルケア最前線(2021年アーカイブ)

Dr.トミーの「デンタルケア最前線」


健康で綺麗な歯を守るために、日々の生活でどういうデンタルケアをしていけば良いのか、歯の磨き方、歯の健康に良い食習慣、悪い食習慣、理想的な歯の定期健診サイクルに始まり、歯科治療の現場で、歯科医から見た最新の歯科治療術(審美を含む)を連載していきます。

 2021年

エナメル上皮腫について(更新:2021年1月29日)

この病気は、下顎の腫脹や疼痛を繰り返し、その都度、抗菌薬や鎮痛剤などを内科などで受けていたということがあります。

しかし、腫脹が憎悪し、排膿などを認める場合は、すぐに歯科医院への受診が肝心です。
原因は歯胚の中のエナメル器と呼ばれる部分が腫瘍になることで起こります。
また大部分が顎骨内で発生して無痛性で緩徐に発育しますので、まず歯科医院では次の事項で診査いたします。

  1. X線診断:(デンタル、パノラマ、CT)にて画像診断いたします。
  2. 視診:顔貌の左右の相違を確認(腫脹、発赤はないか)
  3. 触診:歯の動揺、骨の羊皮紙様感(皮質骨が薄くなっていないか)
  4. 問診:下顎のしびれや麻痺はないか、また下唇のしびれはないか

その後、2次医療、3次医療にご紹介を行い病理検査などにより確定診断を行って頂き、エナメル上皮腫の除去と顎骨の保存をどう行うかを決定し、手術を行います。エナメル上皮腫には類似の疾患(含歯性嚢胞、歯原性角化嚢胞等)との相違を確認します。

手術においては

  1. 顎骨切除法(完全な根治性療法)
  2. 顎骨保存外科療法(顎の連続性を保ち、形態や機能を温存して根治を目指います)

この2つ両方のうち小児の場合は成長も鑑みて(顎骨保存外科療法)を行います。
エナメル上皮腫は良性腫瘍と鑑別されていますが、再発やまれに悪性転化、することも念頭において対応が必要になります。
手術後、約半年に1回はレントゲンでの骨の再生状況や、再発が起こっていないかの確認が必要とされます。もし顔貌の非対称も改善され、下歯槽神経の圧迫改善で知覚麻痺が治癒しているかも確認が必要です。さらに欠損した歯の部分にインプラントなどを考えることも必要とされます。



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