Dr.トミーのビッグスマイル諫早 2022

2022年 8月

歯周病治療の流れ

国民皆歯科検診が行われるようになります。
全身疾患にも影響を起こさないように歯周病の治療についてお話したいと思います。

歯に付着した細菌の塊(プラーク)が歯周病の原因です。
動的な治療として、レントゲンを撮る、歯周病検査、写真撮影があります。
歯周菌の治療として、ブラッシング指導、歯石を取る、歯周外科治療、歯周組織再生治療があります。

高齢者の方の窒息死される原因

高齢者の方が窒息死してしまう原因となる食品として餅、ゼリーがあります。
高齢の方でどんなことが起こってしまうのかお話します。

  1. 咬合支持の低下が起こります。
  2. 奥歯が無いことで、噛むことができず認知症が悪化します。
  3. 食事の自立:歯があった時の感覚で食事の量を維持してしまいます。
歯が無くなりプラークの残りが多くなると、歯周病菌が脳への侵入が酷くなり認知症が悪化します。

認知症が進行してしまった患者さんんへの口腔ケアと訪問診療

当院では毎週2~3回介護施設に往診を行っています。
患者さんが何を訴えているのかを把握するのが難しいです。
痛いのはどれくらい痛いのか、必要な情報把握も難しいです。
普段の様子をよく知っている方、介護職員さんから情報収集することが大切です。
患者さんの認知症の具合に合わせた治療を行うこと、訪問診療では現場に合わせた機材が必要です。

口は万病のもと

炎症の専門的な5つの兆候があります。

(1) 腫脹
(2) 発赤
(3) 熱感
(4) 機能障害
(5) 疼痛

歯周病は静かに侵攻します。
この5つの兆候が見られると侵攻が早まります。
歯周病は全身疾患で歯周病菌が血管に入ると、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、認知症が起こります。

歯周病は静かに侵攻しますので、重症になってから痛みが出てきます。
歯科医院での定期的な口腔ケアが大切です。

2022年 7月

歯周病菌がアルツハイマー病を悪化させる

歯周病菌の影響で認知症を悪化させることについてお話したいと思います。
アルツハイマー病は認知症の一つです。
認知症が悪化するのは歯を失って、口を動かせなくて脳の活性化が促せないという考え方が昔はありました。
しかしある研究で歯周病菌(PG菌)があるとアルツハイマー病が悪化することが分かりました。
脳内には細菌やウィルスが入らないように血液脳関門という防御機能がありますが、歯周病菌などが脳に入るとアルツハイマー病が悪化してしまいます。

今回知っておいていただきたいのは国民皆歯科検診が行われるようになります。
認知症を抑制できるかもしれません。

癌の手術前に歯周病治療を行うことが大切

しっかりと歯周病治療を行っていると、入院日数が減少するという研究も出てきています。
歯周病ケアを行っていないと口の中のPG菌がチューブを通じて肺に入り込んで肺炎起こすことがあります。

癌の化学療法とか放射線治療によって、菌血症といって無菌である血液の中に細菌が入り込むことがあります。

手術前や癌治療の前に口腔機能管理を行っておけば、入院日数が減少します。
当院でも菌血症が起こらないように来院している患者さんもいます。
オペの前に口をきれいにするということを知っておいてください。

歯周病は肝臓にも影響を及ぼす

中高年の方で脂肪肝というとアルコールを多飲するという印象があると思いますが、最近問題になっているのは非アルコール性の脂肪肝です。
非アルコール性の脂肪肝を起こす危険因子として歯周病菌もあります。

非アルコール性の脂肪肝の患者さんは健常な方に比べてPG菌が高いことが分かっています。
歯周病の治療を継続すると肝機能の数値が改善する方もいます。
お口の中のケアは肝機能や全身疾患に対しても予防になるということを知っておいてください。

歯周病の方がインプラント治療をしたらどうなるか

日本人の歯科での継続的なケアは先進諸国の中で最低です。
未治療の歯周病があって適切な治療を受けていない方がインプラント治療を受けた場合、インプラントがしっかり生着しないばかりかインプラント周囲炎を起こしてしまいます。
天然の歯が歯周病だとインプラントにも感染しやすいです。
しっかりと歯科やお家で口腔ケアを行うことで歯周病菌を増加させないようにしてください。

2022年 6月30日

顎関節症の原因について パート1

マスクを長時間することで顎に負担がかかります。
会話をしない、口を大きく開けることができなくなってしまって、口が開かなくなってきたという患者さんもいます。

顎関節症の原因として5つお話していきます。
今回はそのうちの3つです。

(1)外傷
打撲や固いものを無理に噛んだり、長時間の歯科治療などです。

(2)歯ぎしり
仕事を一生懸命にしている時、寝ている時、楽器の演奏もあります。

(3)ストレス
仕事や介護の負担によるストレスが原因になることがあります。

顎関節症の原因について パート2

今回は前回に続いて、顎関節症の原因の残りの2つをお話していきます。

(4)親知らず
炎症が酷かったり、歯が痛くて口が開かなくなってきます。
膿が溜まってくると喉の方まで腫れてきて呼吸もしずらくなります。

(5)外耳道炎
耳のところで炎症が起こってくると、口が開かなくなってきます。

口底部の腫脹が起こった患者様が来院したらどうするか

数ヶ月前から口の底に違和感があった患者さんがそのまま放置していて、それが再度腫れてきました。
舌下腺という唾液を出す腺があります。何かの傷によって唾液を出すところが閉まってしまい、唾液が溜まって腫れてきます。これをガマ腫と言います。
治療法としてはガマ腫を摘出する、または唾液腺の出るところを開放する処置をする、または舌下腺を除去することもあります。

食べることで歯周病予防ができる善玉菌について

口の中には700種類ぐらい細菌が存在していて、腸に次いで細菌が多い場所です。
歯周病が全身の病気に深く関わることが明らかになっています。
口の中の細菌層のバランスを整える食品を摂取することによって歯周病予防になります。
乳酸菌の一種でロイテリ菌というものがあります。
歯科にもロイテリ菌が売っていることがあります。
あくまで治療の補助的なものです。

2022年 5月31日

小児の治療にかかる時間

お子さんが30分我慢するのは無理だと思います。

(1)治療の術前の準備をしっかりしておく
(2)型取りの際は早く形成ができるようにしておく
(3)歯科衛生士とのコンビネーション

この3つのトレーニングを行っていると、お子さん達は安心して治療を受けることができます。
当院では5分で終わることもあります。
お子さんになるべく負担をかけないようにすることが大切です。

顔の下から首のところに腫れがでてきた患者さん

顔の下から首のところに腫れがでてきた患者さんのお話をします。
呼吸もしづらく、夜眠れなかったそうです。
腫脹が酷いと気道を圧迫します。
膿が歯の根っこから筋肉の層まで落ち込んでくることによって腫れが起こります。
1日おいておくと呼吸が困難になることもありますので、早めに歯科医院で診てもらってください。

顔面が赤くなる患者さんが来院されたらどうする

ある患者さんが39.5度の熱があり内科に行ってみたら、PCR検査は陰性でした。
皮膚にかさかさした部分があり、歯科医を勧められました。
歯科医で口腔内の精密検査を行うと歯周炎の重症化もありませんでした。
この方は2,3日前に頬を引っ?いてそこから細菌が感染していました。
発熱しても色々な可能性がありますのでご注意ください。

神経麻痺、知覚の異常があると患者様が来院される この後どうするか

総入れ歯を上下に入れていて、下の唇に感覚がない、また左下の歯茎が腫れている、というケースについてお話します。
タバコは吸う方でしたが、全身状態は良好でした。
CTを取ったところ、歯がすべて無い方でしたが左下に歯の根っこが残っていました。
歯茎の腫れは、この歯の根っこが原因でしたので、これを取って入れ歯を作り直したところ神経麻痺が無くなりました。

口唇の腫脹、発赤が起こった どうしますか

朝から下の唇が腫れた、痛みやかゆみはない、というケースについてお話します。
腫れたのは今回が初めてだそうです。
家族には同じ症状は無いようです。

今回は病気のために飲んでいた薬の影響でした。
薬には副作用があります。
「クスリ」の反対派「リスク」です。

2022年 4月28日

小児の歯科治療で子供の心に貯金をしてあげる

治療やブラッシングを行う際に泣いてしまうことがあると思います。
何故かというと、治療のことなど分からないだらけだからです。

当院ではまず治療終わった1回目に泣いていたとしても、スタッフ全員で拍手して褒めてあげます。そうすると心に貯金が貯まり、安心して治療に向かうことができるようになります。弟とか妹がいる場合、お兄ちゃんお姉ちゃんが治療するところを見ていると、その子たちも落ち着いてくるようになります。

口腔癌に対する患者さんのセルフチェック パート1

早期に発見できれば他の部位でできる癌とおなじように適切な治療で完全に治すことができる場合が多いです。
発見が遅れ、悪化して発見されると大変です。
みなさんも自宅でセルフチェックできる項目が13項目ありますが、今回は5つお話していきます。

(1)粘膜に赤くなっている部分がある
(2)粘膜に白くなっている部分がある
(3)口の中にしこりや腫れなど肥大した部分がある
(4)口内炎が2週間経っても治らない
(5)口の中から出血がある

口腔癌に対する患者さんのセルフチェック パート2

今回は前回に引き続いて口腔癌のセルフチェック8項目をご案内致します。

(6)入れ歯が痛みや腫れで合わない、違和感がある
(7)原因不明な歯のぐらつきが続いている
(8)抜歯後中々治らない
(9)頬や舌が動かしづらい
(10)しゃべりづらい
(11)口の中に痛い部分がある
(12)首のまわりのリンパ節が腫れている
(13)片方だけの鼻詰まりがある

これらのセルフチェックで早期発見に繋がります。

タンニンの抗菌作用

タンニンはお茶や渋柿の渋の成分です。
最近お茶は様々な効果が期待されています。
タンニンには次の効果があります。

(1)お口の中のミュータンス菌の増殖を抑制
(2)うがいにより風邪の予防
(3)病原性大腸菌の増殖を抑制

柿の葉寿司は防腐作用があります。
他にも笹団子やます寿司などがあります。

小児の口の中の軟組織の外傷について

コロナ禍で外での遊びが減って家での怪我が増えてきています。
歯ブラシを口にくわえたまま転んでしまって粘膜を傷つけることもあります。
出血も多くてお母さんがびっくりしてしまうこともあると思います。
歯科医院では刺さってしまったところだけでなく、怪我の状況から他のところにも影響がないか予測をします。

2022年 3月31日

スペイン風邪について

年カンザス州兵の病院で咳と発熱を生じた兵士が訪れました。
第一次世界大戦の時のことです。
その1週間で同じ症状を示した人が500人いました。
その後1年あまりで世界中で大流行し、2500万から5000万人が死亡しました。

何が原因か分からず、第一次世界大戦に参加していなかったスペイン以外では広く報道されませんでした。
アメリカで見つけられたのにスペイン風邪と呼ばれるようになりました。


小児の治療時に注意して行うこと パート1

歯科医とアシスタントはチェアに寝てもらってから、お子さんの手の位置を確認します。
手が胸の上あると治療中にお子さんの手が動き出して、歯科医やアシスタントに手が出てきてしまい、治療を続けることができなくなります。
お腹の上に手を置いてもらうようにアシスタントが誘導します。


小児の治療時に注意して行うこと パート2

前回はお子さんの手の位置についてお話しました。
今回は足の動きにも注意が必要だというお話をします。

虫歯の治療中に足をバタバタさせてしまうお子さんがいます。
足の向いている方向に顔を向けてしまいます。そうするときちんと治療ができなくなります。
当院ではアシスタントがお子さんの膝をすっと腕で押さえてあげます。


お子さんの泣きの服装

オーバーオール、タートルネック、厚手のジャンバー、などの服装をしていると泣いてしまう傾向があります。
泣いている時の呼吸は不規則で早く浅いです。
オーバーオールを着てチェアに寝ると、肩のベルトが胸を締め付けて、泣いている時のような呼吸に近づきます。
タートルネックや厚手のジャンパーは体温が上がり、呼吸数が上がり浅くなり、泣きの呼吸に近づきますのでご注意ください。


2022年 2月28日

不整脈と歯科治療について

当院では心電図モニターを使用しており、初めて不整脈が分かることもあります。
歯科のチェアを上げ下げするだけで、患者さんは緊張することがあります。

歯科治療中に不整脈が悪くなるということを気がけておく必要があります。
歯科衛生士にも患者さんの全身疾患をある程度把握しておく必要があると伝えています。


さらさら唾液とぬるぬる唾液について パート1

唾液腺には大唾液腺と小唾液腺があります。
耳下腺、顎下腺、舌下腺、この3つを三大大唾液腺と言われています。

耳下腺は最も大きくてさらさらな唾液がでます。
顎下腺は耳下腺の半分ぐらいの大きさですが、唾液の分泌としては70%を占めています。
舌下腺は顎下腺の20%の大きさで、ぬるぬるとねばねばの粘液性の唾液を出します。


さらさら唾液とぬるぬる唾液について パート2

唾液の働きとして、粘膜の保護作用、食物をスムーズに送り込む作用などがあります。

粘膜の保護作用というのはぬるぬるねばねばの粘液性の唾液がメインとなります。
この粘液物質の中にはムチンというものがあります。
ムチンが無いと、例えば魚の骨が刺さったり、固い繊維質とかが取りにくくなり傷がつきやすくなります。またムチンが無いとカビが生えやすくなります。

加齢とともにムチンが減少します。
皮膚に存在するムチンが減少すると肌の弾力がなくなります。


さらさら唾液とぬるぬる唾液について パート3

高齢の方は唾液の分泌量が減少すると食事をしてしっかりと飲み込むことができなくなります。
唾液腺は動物の食性に合わせて変化します。

人間はかなりの分泌量が必要で大唾液腺が発達します。
海鳥の唾液腺の発達はどうでしょうか。
魚を丸飲みしますので、大唾液腺の発達はそこまでよくないです。
すずめはどうでしょうか。
粟や米を食べるには唾液腺の発達が必要です。

人間の食生活においても変化が見られ、唾液の分泌量が違うことがあります。


2022年 1月31日

インフルエンザも流行してきますよ パート2

今日はインフルエンザウィルスの作りと感染がどう起こるか、分かりやすく説明していきます。
インフルエンザウィルスにはHAとNAという2つのトゲがあります。
注射器に例えてお話します。
先端の針の部分をHA、手で押すところをNAと想像してください。
先端の針にはカバーがしてあり、注射器の中にRNAという仲間を増やす悪いものが入っています。
口の中の細菌が出す酵素が針のカバーを溶かしてしまいます。
インフルエンザの症状がでるのは咽頭と上気道粘膜です。
ウィルスが中に入っただけでは感染しませんが、お口の中が不潔だと細菌が出す酵素でカバーを溶かしてしまいますので、お口の中はきれいにしておいてください。


レントゲンの大切さ パート1

なぜレントゲンを撮るのか、ということをお話していきます。
とりわけ、歯周病や欠損については経過の対応含めて長期的な治療をイメージする必要があります。
毎日のお食事でかみ合わせが変化することもあるかもしれませんので、定期的にレントゲンを撮る必要があります。精度の高い臨床記録を蓄積すること、病態の未来を探ることができるのでとても大切です。

レントゲンの大切さ パート2

質の高いレントゲン写真というのは、正常な像を見ているだけでありません。
病気を見なければなりませんので、虫歯や歯髄、歯周病においては骨の吸収状態、歯根膜、骨量、などを見ます。
歯科衛生士による歯周病の検査も2次元的な撮影状況も最近では3次元的に判断することが有効になってきています。
CT撮影も歯科にあることも一般的になってきて、インプラントの場合には神経との距離や骨の出来具合などチェックして治療します。


レントゲンの大切さ パート3

経過を見るためにレントゲン撮ることをが大切だというお話をしてきました。
周囲組織の状況レントゲンでの正確な状況を確認することが大切です。
歯科医師は隣接する歯をどう活かせるかなどをレントゲンを見ながら予測します。
見えないものを見て予測することが患者さんにとって大切だと考えています。

不整脈と歯科治療について

当院では心電図モニターを使用しており、初めて不整脈が分かることもあります。
歯科のチェアを上げ下げするだけで、患者さんは緊張することがあります。

歯科治療中に不整脈が悪くなるということを気がけておく必要があります。
歯科衛生士にも患者さんの全身疾患をある程度把握しておく必要があると伝えています。